
誕生をめぐる記憶の歴史
胎内記憶は、どのように語られてきたのか
いつの時代も、人は 生まれる前のいのち に問いを向けてきました。
神話や祈り、哲学や文学、そして近代の心理学や医学へ──
それぞれの時代が見つめた 誕生の記憶 を、静かにたどっていきます。
誕生をめぐる記憶をたどる、小さな時間の旅
生まれてくる前のことを、私たちはどのくらい覚えているのでしょうか。この問いは、ある時代に突然あらわれた新しい発想ではなく、宗教や哲学、医学、文学、そして心理学の歩みの中で、静かに受け継がれてきた人類共通の関心でした。
太古の神話や古代の医学書に記された「魂の旅」の物語。文学の中で語られた誕生の記憶や、近代の研究者たちによって見つめ直された胎児期の体験。それらは互いに遠く離れた場所や文化で生まれながらも、「いのちは、どこから来て、どのようにこの世界へ歩み出すのか」という一つの問いへと、静かに重なっていきます。
ここでは、宗教思想や医学古典、転生記録、文学、そして出生前・周産期心理学の流れを横断しながら、誕生をめぐる多様な記憶と探究の歩みを、ひとつひとつ丁寧にたどっていきます。過去から未来へとつながる、この小さな時間の旅の中で、胎内記憶をめぐるまなざしが、どのように広がり、深まってきたのか。一緒に見つめていきましょう。
宗教思想と神話に見る「魂の記憶」
宗教や神話、哲学的な世界観のなかでは、「人はどこから来て、どのように生まれてくるのか」という問いが、長い時代を超えて語り継がれてきました。仏教経典『大宝積経』巻五五の「処胎会」には、魂が母胎へと赴く過程や胎内での在り方が象徴的に描かれ、人がこの世へ降り立つ以前から意識的な旅をしているかのような胎内観が表されています。さらに、チベット医学の古典『四部医典』にも、胎内の形成や胎児の感覚に関する詳細な叙述が見られ、身体だけではなく心や生命観と結びついた形で「胎内で過ごす時間」が理解されてきたことがうかがえます。
こうした宗教思想や医学古典のまなざしは、誕生を単なる生物学的出来事としてではなく、「魂の記憶」とも響き合う深い体験として捉えてきた人類共通の想像力を示しています。そしてこの感覚は、世界各地の神話や口承文化にも受け継がれています。大地や祖霊とのつながりを重んじる共同体の物語では、「子どもは生まれる前から村の一員であり、遠い場所から歌に導かれてやって来る存在」と語られることがあります。
たとえばアフリカ南部・ナミビアのヒンバ族の人びとの伝承には、母と周囲の人々が、まだ生まれる前の子どもに捧げる 魂の歌 を見出し、その歌が命の誕生と結びついていく物語が語られています。これらの物語は、地域も時代も異なりながら、いずれも「誕生とは、目に見えない世界とつながる体験である」という共通の感覚を静かに伝えているように感じられます。
ヒンバ(ナミビア)
その子の歌は、母の心に先に宿る。
砂の大地に吹く風とともに、村の人々はその歌を囲み、生まれるより前から、その子を迎え入れている。

魂の歌として始まる生命
マオリ(ニュージーランド)
whakapapa(つながり)の糸が、遠い祖先の時代から続いている。
その子は、一つの枝としてその系譜に結ばれ、世界に「戻ってくる」存在として迎えられる。

大地と天空に抱かれる命の物語
ハワイ・ポリネシア
いのちの記憶は、海と山のあいだに漂う。
ʻaumākua(先祖の霊)が静かに寄り添い、子どもは家族の系譜に導かれて、この世へと踏み出す。

祖先との結びつきとしての誕生
北欧神話
冬の森の静けさの中で、魂はしばし羽を休める。
やがて新しい名を受け取り、古い物語の続きを生きるために、生まれなおす。

宇宙樹の循環に生まれ落ちる存在
胎内記憶のあゆみ
これから胎内記憶がどのように広がってきたか、世界と日本の出来事を年表で見ていきましょう。
1981年
1988年
1990年代前半
1999年
2001年
2003年
2005年
2010年代前半
2014年
2015年
2015年
2016年
2017年
2018年
2018年
2018年
2019年
2020年
2020年
2021年
2021年
2022年
2022年
2022年
2023年
カナダの精神科医 トーマス・バーニー博士が『The Secret Life of the Unborn Child(邦題:胎児は見ている)』を出版。胎児期の意識や感覚に関する研究が注目され始める。
アメリカの心理学者 デイヴィッド・チェンバレン博士が『Babies Remember Birth(邦題:誕生を記憶する子どもたち』を出版。退行催眠から胎児が意識を持っているとする説を解き、出産や胎内記憶に関する事例を多数紹介。
欧米各国で胎児心理学・周産期心理学に関する国際会議が相次いで開催される。日本でも助産師や研究者が胎内記憶の事例収集を開始。
池川明博士(産婦人科)が胎内記憶を語る子どもたちの調査・研究を本格的に開始。
9月 池川明博士が全国保険医団体連合医療研究集会で「胎内記憶」を発表後、朝日新聞で紹介され広く注目を集める。
11月 池川明博士が世界産婦人科会議(FIGO)にて胎内記憶について発表
出生前・周産期心理学協会誌 Journal of Prenatal and Perinatal Psychology and Health(JOPPPAH)冬号にて、池川明博士が胎内記憶の調査に関する論文 Investigation by Questionnaire Regarding Fetal/Infant Memory in the Womb and/or at Birth を発表。
胎内記憶をテーマとしたドキュメンタリー映画や講演会が全国で開催される。海外においても、胎内記憶はスピリチュアル分野と科学分野の双方から注目され始める。
荻久保則男監督によるドキュメンタリー映画『かみさまとのやくそく』が公開。胎内記憶の存在が広く一般に知られるきっかけとなる。
池川明博士がエストニア、フィンランドで講演を行う。
出生前・周産期心理学協会誌 Journal of Prenatal and Perinatal Psychology and Health(JOPPPAH)秋号にて、大門正幸博士が胎内記憶の調査に関する論文 Children's Birth, Womb, Prelife, and Past-Life Memories: Results of an Internet-Based Survey を発表。
11月 池川明博士の著書2冊が海外向けに出版される。→ 書籍リンクはこちら
中国・深圳にて胎内記憶に関する講演会が開催され、池川明博士が参加。
中国・北京で胎教に関する国際イベントが開催され、池川明博士と土橋優子氏が参加。
出生前・周産期心理学協会誌 Journal of Prenatal and Perinatal Psychology and Health(JOPPPAH)春号にて、五十嵐夕子氏が Film Review – The Promise: Prenatal Memories of Children を発表。
12月 中部大学にて開催された人体科学会第28回大会で、「世界を繋ぐ胎内記憶グローバルプロジェクト」が発表された。五十嵐夕子氏が中心となり、海響氏、土橋優子氏、広沢そう氏と共に登壇。
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五十嵐夕子「世界を繋ぐ胎内記憶グローバルプロジェクト」
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土橋優子「胎内記憶とベビー手話をベースにした乳幼児教育」
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海響「イメージによる胎児との対話」
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広沢そう「魂の刻印を解き放つ胎内記憶:アートセラピーの新しい可能性」
企画・司会進行は五十嵐夕子氏。発表後には、池川明博士(胎内記憶研究)、大門正幸博士(意識研究/前世記憶など)を迎えてパネルディスカッションが行われた。
11月 コロラド州デンバーで開催されたAPPPAH国際会議にて、日本から池川明博士と五十嵐夕子を中心とするチームが登壇。中国代表とともに『世界を繋ぐ胎内記憶グローバルプロジェクト』を発表し、国際的な胎内記憶研究の広がりを紹介した。会期4日間にわたり、ワークショップ、分科会、晩餐会に参加し、『かみさまとのやくそく』の上映会は2度行われた。
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池川明「胎内記憶の歴史と人間の構造」
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土橋優子「 胎内記憶:言葉を介さないコミュニケーションと幼児教育」
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町田明生晴「アドラー心理学、胎内記憶に学ぶコミュニケーション」
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海響「イメージによる胎児との対話」
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上田サトシ先生「胎内記憶を呼び起こす瞑想とスピリチュアルミッドワイフ」
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横山卓先生「東洋医学と周産期におけるネッシンケア」
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長南華香先生「胎内記憶から見るママへの愛のお土産」
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英藹雯先生:「出生前教育ー親子関係を改善する調和のとれた基盤」
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馬良坤博士& 鄭瑞敏博士:「出生前教育ー調和のとれた家族の基盤とマインドフルネスを取り入れた出産」
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五十嵐夕子「 世界を繋ぐ胎内記憶グローバルプロジェクト」
9月 ルーマニア国際会議(オンライン)
ブカレストで開催された周産期の健康に関する国際会議 ― 心理学的・社会的・医療的アプローチ2020で、池川明博士と五十嵐夕子は「胎内記憶は未来のエピジェネティクス」を発表。胎内記憶をテーマに、国際的な周産期研究の場で日本からの視点を発表した。
11月 Power to Create 国際サミット(オンライン)
Birthing The New Humanity が11月20日〜29日に開催したイベントにて、11月21日、ブルース・リプトン博士の発表直後に池川明博士が登壇。翌22日には、池川博士と村松大輔先生、長南華香先生をゲストに迎え、胎内記憶をテーマにしたディスカッションが行われ、翻訳・通訳・コーディネート担当:五十嵐夕子。
2月 ギリシャのPrenatal Sciences Research Institute SOPHIAから共著本『Change: Birthing & Parenting at Times of Crisis』が出版され、池川博士が第8章『What is Left Behind? What is in the Horizon? Quantum Mechanical Interpretation of Prenatal Memory』を寄稿し、五十嵐夕子が編集翻訳。
11月|APPPAH国際会議(オンライン)
テーマ:「Transforming Society through Prenatal Memory—社会変革を起こしてきた人たちの語る胎内記憶」(敬称略)▶︎ 発表者一覧やスケジュールは [ PDF詳細] へ
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七田厚 全脳教育「七田式」の世界的展開/未来を担う子どもの「脳と心の教育」
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飛谷ユミ子 「量子の世界を理解する—子どもの静寂のささやきに傾聴した30年」
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佐野浩一 「つながるいのち—教育と経営に活かされた胎内記憶」
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村松大輔 胎内記憶への量子力学的アプローチ「赤ちゃんが親を選ぶしくみ」
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長南華香 親子関係の改善と“大人の胎内記憶”「ソウルフルファミリー」
企画・翻訳・通訳・司会進行は五十嵐夕子氏。コメンテーターとして、池川明博士(胎内記憶研究)、大門正幸博士(意識研究/前世記憶など)が参加した。
3月 APPPAH Birth Psychology Month 映画祭にて、熊猫堂「かみさまとのやくそく」特別編集版『Prenatal Memory〜A Message from the Babies〜』を3月7日にライブ上映。3月9日には、トマス・バーニー博士の紹介で、池川明博士と荻久保則夫監督がパネルディスカッションを行い、五十嵐夕子が翻訳・通訳とコーディネートを担当。
4月 『WOMB TO THRIVE: The Missing Keys to Heal Yourself, Your Family and the Planet』(著:Julie Gerland/Birthing The New Humanity、世界同時発売・ベストセラー)にて、池川明博士が第4章 “Prenatal Memory: Global Peace Starts with a Peaceful Family Environment”(胎内記憶を伝えて達成したい目標:家庭の平和から始める世界平和)を寄稿。編集・翻訳・コーディネート:五十嵐夕子。
4月『JOPPPAH(The Journal of Prenatal & Perinatal Psychology and Health)』春号にて、池川明博士・土橋氏・五十嵐夕子が論文 “Prenatal Memory: How to Accept Love from Our Children”(胎内記憶:子どもからの愛を受け取る方法)を発表。編集・翻訳・コーディネート:五十嵐夕子。
11月 トマス・バーニー博士の出生前・周産期心理学認定育児アドバイザー養成講座(オンライン)が開講。Eラーニングと実習を組み合わせた本格プログラムで、修了者にはバーニー博士の公式認定資格が授与される。池川明博士による解説講義、五十嵐夕子による実践応用講義、町田明生晴先生によるバーニー博士新刊の解説が含まれている。企画・翻訳・通訳・コーディネート・受講者サポート担当:五十嵐夕子。
2023年
11月 APPPAH国際会議(オンライン)
テーマ「Co-Education: Prenatal Memory Nurtures Family Bonds—共育: 家族の絆を育む胎内記憶」(敬称略)
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池川明 ― 胎内記憶を応用した育児で変わる社会
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渥美陽子 ― 日本の病院での胎内記憶の伝え方
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伊藤久美子 ― 胎内退行療法:ワンダーベビーとの対話
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飛谷ユミ子 ― 母と子の非言語コミュニケーションとクォンタムバース
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村松大輔 ― 精神性と志を育む量子力学を取り入れた教育
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江崎英子 ― 社会変革を起こすコミュニケーション(トーマス・ゴードンの親業)
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五十嵐夕子 ― 日本からの発表まとめ及び企画・翻訳・通訳・司会進行。
さらに本会議では、日本から2名の研究者がSpirit of APPPAH Awardを受賞した。
2024年
3月 Prenatal Alliance によるPRENATAL WELLNESS 国際サミット
お母さんと赤ちゃんの身体的・感情的・精神的・社会的な健康の促進をテーマに、「世界妊娠デー」(毎年3月22日)の国連制定を願って開催された最初の国際オンラインサミット。日本からも代表者が参加し、胎内記憶や母子のウェルビーイングに関する発表を行った。
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池川明博士 ― 胎内記憶とエモーショナル・アタッチメント:未来への影響
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岸本玲子先生 ― 今こそ蘇れ!産婆の精神:母親の健康のためのグローバルな取り組み
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五十嵐夕子 ― 胎内記憶による意識的な子育て
企画・翻訳・通訳は五十嵐夕子が行い、世界の研究者や専門家との交流をサポートした。
2024年
3月 APPPAH 誕生心理学月間
「誕生心理学月間」を祝う3月、APPPAHでは「新しい出産モデル」をテーマに、イギリス・オーストラリア・日本の代表が週替わりで発表。日本からは、2023年11月APPPAH国際会議でのグループ発表 『共育:家族の絆を育む胎内記憶』 を五十嵐夕子が翻訳・通訳・コーディネートを担当し、当日は動画配信と質疑応答が行われ、この動画が一週間一般公開された。
この発表は現在、改訂版 「出生前・周産期エデュケーター認定コース」モジュール4「意識と細胞記憶」 に収録されている。
2025年
3月 Prenatal AllianceによるPRENATAL WELLNESS国際サミット
母親と赤ちゃんの身体的・感情的・精神的・社会的健康の促進をテーマに、無料の3日間オンラインイベントとして開催された。サミットは妊娠が人類の未来に与える影響を学ぶ機会として、若者や将来の親、母子保健の専門家、一般の方々に向けて開かれた。日本からは五十嵐夕子が翻訳・通訳・国際コーディネートを担当し、世界の研究者や専門家との交流をサポートしながらパネルに参加した。
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池川明博士「胎内記憶と胎内期からのコミュニケーション」
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岸本玲子・花森淑子・柴田星子(リプロダクティブヘルスチーム合同発表)「家族へのエンパワーメント」
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上村雄彦教授「科学と非科学の統合:平和で幸福な世界のために」
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五十嵐夕子「日本の胎内記憶:絵本の紹介」
企画・翻訳・通訳は五十嵐夕子が行い、世界の研究者や専門家との交流をサポートした。
2021年
6月 アメリカの『人生の始まりから人間の可能性を育み対人関係を最適化する12の原則』が発表され、ウェブサイトに公開される。編集・翻訳・コーディネート:五十嵐夕子。



